最近の下落相場でレバレッジの大変さが分かった方も多かったのではないだろうか。

上昇相場であれば増えるものにレバレッジを掛ければ増える速度も加速するからレバレッジを掛けたほうがいいと思えてしまうかもしれません。長期的にみても右肩上がりであれば、そこにレバレッジを掛ければ2倍以上に増えるので、その方がリターンが多くなるからいいと感じるかもしれません。

これらは、確かに間違ってはいないのですが、単純にレバレッジを掛けた分だけ増えるわけでもないし、右肩上がりに増えていくわけでもないです。

相場は、上下しながら動いていくものであり、時々大きく下落する事もあります。直近でも、チャイナショック(2015年)、VIXショック(2018年)、コロナショック(2020年)、ウクライナショック(2022年)と、所々で大きく下落しています。

これらは振り返れば、「これぐらいの水準で下がっただけだから、ホールドしていればいいだけ」と簡単に思えるけれども、現在進行形の場合は「どこまで落ちるか分からない」という不安感が高まっていきます。

現に、今はウクライナショックの真っ只中ですが、どこまで下がるか分かる人はいますか?

ロシアが諦めて停戦協議に応じれば、もう下がらないだろうし、ロシアがむきになって占領を強行すれば株価は更に下がるだろうし、中国がロシアを支援して西側諸国と決裂してブロック経済などになれば株式市場などは大暴落して暗黒状態になるでしょうね。

どれも可能性としてはあり得るシナリオであり、それが分からないから何処まで下がるかなんてことは誰にも分からないんですよね。

何処まで下がるのか分からない状態で、レバレッジの効いた商品がズンズンと下がっていけば、誰だって逃げ出したくなってホールドし続ける人はほとんどいません。

レバレッジで大金持ちになるのが難しいのは、減損リスクを取る行為は資金力が大きいほど難しいからですよね。

たとえば投資資金が90%も減ってしまって、100万円が10万円になれば、当然ながら厳しいですが、このぐらいの損失であれば失くしたと思ってあきらめる事が出来る人も多いと思います。(まあ、それでもこれだけ減ると嫌だけど)

これが金額が大きくなって同じように90%減ってしまって、1000万円が100万円まで減ってしまったら、誰でも心が折れると思います。損失を覚悟である程度の損害(例えば300万円ぐらいの損失)になれば、逃げ出すものです。

これが投資金額が更に大きくなって、3000万円だったら?

35%減っただけでも、1000万円もぶっ飛ぶんですよね。3倍のレバレッジを掛けていたのであれば、指数はたったの10%ぐらいしか下がっていない状態なので、まだまだ下がる余地が充分ある訳ですよね。それでも、我慢してホールド出来るのだろうか。

50%も減ったら、1500万円も含み損が出る状態です。

でも、まだまだ波乱含みで下がる余地があれば、ここから更に下がって2000万円以上の含み損になるかもしれませんよね。そんな状態でもホールド出来る人はほとんどいないです。

最近だと、中国のハイテク銘柄にレバレッジを掛けているETFのCWEBなどが分かりやすいですよね。

CWEBチャート

最高値は108ドルでした。実に95%ぐらいは下がっているわけですよね。あの頃に投資した人は、ほとんど資金が蒸発したようなものですよね。

このCWEBが高値の108ドルから20~30%下がった86ドル~75ドルになった時に、「安値で拾えるぞ、ラッキーだ」と思って拾ってみても、その時点から更に85%も下がっているのだから、レバレッジに投資する際の下落速度の速さが分かりやすいと思います。

こういったCWEBも、これから10年~20年ほど経ってから、その時点での長期的なチャートでみれば、今回の大きな下落も誤差の範囲だと思えるような感じになっているのかもしれませんが、下落の渦中にいる現在の時点で、そのような楽観的な想いで90%ほど下がった状態でもホールドを続けていける投資家なんてほとんどいないと思います。

レバレッジが簡単に儲かるのであれば、昔から誰でもやっているんですよね。

もちろん、レバレッジを掛けて儲かっている人もいるはずです。でもね、そう簡単に儲かるものでもないし、ましてや初心者が気軽に手を出して儲かるようなものではないと思います。

増えるも減るも諸刃の剣であるレバレッジは、感情を押し殺して淡々と利益確定と損失確定(損切り)を使いこなせるようにならないと難しいと思います。